北海道の観光・旅行

あまりにも楽しくて、
楽しさでお腹一杯になり少しその場を離れた。

綺麗な海とは言えない、
この季節なのに人気の無い砂浜に座って、
ぽけっと夕暮れの水平線を眺めた。
酸っぱそうなレモンの絵が目立つ缶チューハイを片手に、
シホちゃんがやって来て隣に座った。

キっちゃん達が遠くに見える。
皆んなが笑う中、
キっちゃんが頭を振って踊っている様な姿が見える。
遠くに聞こえる皆んなの笑い声が気持ち良かった。

ーーお酒入ってないのに、すごい元気だよね。
　　キっちゃんてあんな風だったっけ？

　「キっちゃん、
　　今はめちゃめちゃ落ち込んでる時だから
　　逆にあんななんだよ。
　　わかってないな～相変わらず。」

急遽決まった日帰りの小さな旅。
キっちゃんが企画してくれて、
車を借りて、運転もしてくれて、
おかげで皆んな凄く楽しく旅を過ごせた。
ちょっと面倒くさい。断ろうかな。
そう思っていたあの時が
あっという間にぺらぺらに霞んだ。

ーーそっか。
　　落ち込んでんのか。
　　でも、やっぱなんか変わった。
　　そう見えるな。

　「こう言う時って、なんか勝手に音楽流れない？
　　頭の中に勝手に。」

ーーああわかる！
　　流れてるよね、無意識に。

　「今は？何が流れてるの？」

ーーReturn To Innocence　わかる？

　「わかるよ～Enigmaでしょ、いいね。
　　私はWind In The Willows
　　実は頭の中ずっと流れっぱなし。
　　わかる？」

ーーBlackmore’s Night ？
　　うん、いいね。

情景に慣れて自分がそこに同化してくると、
皆んなの笑っている姿は変わらず見えるのに、
遠くに聞こえていた心地良い笑い声はここへ届かなくなり、
ざー、ざーって波の音が、
さっきより近く聞こえた。

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