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ブルーベルベット

2015年02月02日

先日、知人から連絡があって、神戸爆音映画祭なるものに行ってみないか、と誘われた。今月の19日から25日の期間で、あらゆるジャンルの映画を、文字通り、ライブ感満載の爆音でお送りするという。ラインナップがこれまた凄くて、ファイトクラブやブルースブラザーズといった懐かしいものから、ジム・ジャームッシュの新作「オンリーラヴァーズレフトアライヴ」といった新作まで、映画ファン垂涎の秀作・快作が目白押しだ。その中に「ブルーベルベット」の名を観た時は、些か、欣喜雀躍の感さえあった。

ブルーベルベット、そう、かのデヴィッド・リンチ監督が、その才能を余すことなく注ぎ込んだ、”病んでる映画”の金字塔である。”病んでる映画”というだけあって、この作品には、至る所に病気が描かれている。切り取られた耳、その周囲で蠢く虫達、フリースペースという超コカインを思わせる道具、歌うオカマ、そして、何よりも目を引くのは、故デニス・ホッパーが怪演するイカれヤクザの存在だ。ホッパー扮するフランクなる男は、殺した人間の耳を切り取って弄ぶ異常者であり、また、イザベラ・ロッセリーニ扮するナイトクラブの歌手に変態的なセックスを強要したうえ、ブルーベルベットという往年の名曲を歌わせ涙を流して聴くという、正真正銘の変質者である。この作品は、一応、サスペンスの体を取っているが、はっきり言ってホッパーとロッセリーニ以外全く印象に残らない。むしろ、この二人の性的倒錯行為が本編の重要な鍵であるとともに見どころとなっていて、観る者を陶然とした世界観に引き込むのだ。まさに”病んでる映画”の呼称を冠するに相応しい。

この怪作を爆音で観れるとあらば、行かぬ道理はないだろう。イージーライダーにおける天才、デニス・ホッパー、その怪演を、再びその目に拝むことができるとは、中々味なことをしてくれるものである。  


Posted by 森本 at 17:21Comments(0)